マチガッテル系の人々

ある学問分野について、ある時点で誤った方向に進み始め、現在はまったく出鱈目なものになっていると主張する人を、マチガッテル系と定義します。主張そのものは、間違っていても間違っていなくてもかまいません。この用語は、以前にfjで公表したものですが、公表に選んだメディアが悪かったか、まだ、「トンデモ本」ほど一般化していません。もっとも、「トンデモ本」のほうは、一般化した結果、オリジナルの定義とは異なる意味で使われることが多くなってきたので、どちらが幸福かはわかりません。

このページでは、主に、マチガッテル系の人々の主張を集めています。参考のため、マチガッテル系に近いけど違うものも並べています。

なお、主張そのものは間違っていてもいなくてもかまわないのですから、主張そのものの正誤の考察は、このページでは行ないません。他所では行ないますが、このページには書きませんし、このページからそこへのリンクは張りません。(積極的に隠したりもしませんので、探せば簡単にみつかるでしょう)

1. コレクション

無料または安価で一般公開しているものを対象とします。 私信や内部資料などは含みません。

1.1. 現代数学は間違っていると主張する人々

ある分野のみ間違っていると主張する人々も含む。

1.2. ただのカンチガイ系

既知の成果を否定しようとしているがマチガッテル系ではないものの例として紹介します。

2. 他のコレクター

似たようなコレクションをお持ちの方です。

3. 補足

3.1. 似非科学(疑似科学)との関係について

以前は、マチガッテル系の似非科学(疑似科学)のみを蒐集対象としていました。1999年ごろ、マチガッテル系の定義から「似非科学である」の要件を意図的に外しました。似非科学でないマチガッテル系の主張にも蒐集価値があると、考え直したからです。

似非科学とは、その名の通り、

  1. 科学を名乗る
  2. 科学でない
もののことです。この条件のどちらかを満たさないものでも、マチガッテル系としてのコレクション的価値のあるものがあることを期待して、現在では、似非科学性をマチガッテル系の要件に入れていません。
似非科学の条件1を満たさないマチガッテル系の例(架空の例)
「ある朝、神が枕元に立って、『非ユークリッド幾何学は間違っている』と仰せになりました」
似非科学の条件2を満たさないマチガッテル系の例(過去の例)
ルイセンコの悪夢の時代のソ連での、ルイセンコ仮説の科学的検証(「ある時点で誤った方向に進み始め、現在はまったく出鱈目なものになっている」は、ルイセンコ支配下の「生物学」(を名乗っていたもの)に実際にあてはまるから)

なお、大豆生田利章さんの「疑似科学と関連領域の文献リスト」がよくまとまっていますので、(マチガッテル系ではなく)似非科学に興味のある方には、そちらをお勧めします。

3.2. 角の三等分について

「角の三等分」家と呼ばれる人々がいます。「定規とコンパスのみを用いて角を三等分する作図法を発見した」と主張する人々です。「角の三等分」家でマチガッテル系である人を探しているのですが、今のところ、みつけることができないでいます。

定規とコンパスのみを通常の使い方で有限回使って任意の角を三等分することが不可能であることは、すでに証明されています。その事実を知っていていながら角の三等分の作図を発見したと主張するからには、その不可能性の証明を否定し、さらには数学のその分野を否定しているものだと期待していました。ところが、私のみつけることができた「角の三等分」家のだれも、不可能性証明が間違っているとは主張していません。

「角の三等分」家のうち何人かは、自分の発見が近似作図法であり(厳密)作図法でないことを正しく理解しています。にもかかわらず、それを「角の三等分問題の解決」と称するところに勘違いが紛れこんでいる人もいますが、不可能性証明そのものは認めているので、マチガッテル系ではありません。

単に不可能性証明に言及していない人もいました。不可能性証明を知らないのか、知っていても理解できないので無視しているのかはわかりませんが、いずれにしても、言及していないのでマチガッテル系ではありません。

「角の三等分」家にはマチガッテル系でない人が多数(大部分といいたいところですが、単に探しかたが悪いだけの可能性も否定できないので、ひかえめな表現にしておきます)であることは、筆者にとっては大きな発見でした。

3.3. 相対性理論について

諸般の事情で、「相対性理論はマチガッテル」系は、蒐集しておりません。あしからず。
このページの責任者:鴨 浩靖
最終更新:2008年10月29日