2020年度「離散数学」のページ

資料

写像 — 冪集合と全射・単射・全単射

\(f:A\rightarrow B\) とする。

\(F:\mathscr{P}A\rightarrow\mathscr{P}B\) を \(F(X)=f(X)\) で定める。 (右辺は \(\{f(x)\mid x\in X\}\) であることに注意)

  1.  \(f\) が全射ならば \(F\) も全射である。

  2.  \(f\) が単射ならば \(F\) も単射である。

  3.  \(f\) が全単射ならば \(F\) も全単射である。

1の証明

\(Y\in\mathscr{P}B\) とする。すなわち、\(Y\subset B\) とする。 \(X=f^{-1}(Y)\) とおく。

\(y\in Y\) とする。\(f\) は全射なので、ある \(x\in A\) が存在して、\(f(x)=y\) が成り立つ。\(f(x)\in Y\) なので \(x\in f^{-1}(Y)\) である。したがって、\(y=f(x)\in f(X)=F(X)\) が成り立つ。以上から、\(Y\subset F(X)\) がわかる。

\(y\in F(X)\)とする。すなわち、ある \(x\in X\) が存在して、\(f(x)=y\) とする。すると、\(y\in f^{-1}(X)\) である。以上から、\(F(X)\subset Y\) がわかる。

\(Y\subset F(X)\) かつ \(F(X)\subset Y\) なので、\(F(X)=Y\) が成り立つ。

任意の \(Y\in\mathscr{P}B\) に対して、ある \(X\in\mathscr{P}A\) が存在して \(F(X)=Y\) が成り立つので、\(F\) は全射である。

2の証明

\(X,X'\in\mathscr{P}A\) について \(F(X)=F(X')\) が成り立つとする。

\(x\in X\) とする。すると、\(f(x)\in F(X)\) であり \(F(X)=F(X')\) なので、\(f(x)\in F(X')\) である。したがって、ある \(x'\in X'\) が存在して \(f(x')=f(x)\) であるが、\(f\) は単射なので、\(x'=x\) である。したがって、\(x\in X'\) が成り立つ。したがって、\(X\subset X'\) である。同様に \(X'\subset X\) でもあるので、\(X=X'\) である。

\(X,X'\in\mathscr{P}A\) について \(F(X)=F(X')\) ならば \(X=X'\) が成り立つので、\(F\) は単射である。

3の証明

1と2より明らか。


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